灯はそのとき、相も変わらず青瑞の姫の熱い抱擁を受けて辟易しているところだった。





汀は急展開に目を剥き、しばし硬直する。






(……………え。


なにをしているのかしら、蘇芳丸ったら)






灯は青瑞の姫の腕で、髪で、ぎゅうぎゅうと抱きしめられている。




逃れられないのか、それとも逃れるつもりがないのか、離れる気配もない。







(……………蘇芳丸ったら。


私が眠っている間に、青瑞の姫と仲良くなっちゃったの!?)






汀はぷぅっと頬を膨らませた。




眉根を寄せ、二人を睨みつけるようにしながら立ち上がる。