「か、返せ、こらっ!!」





息吹がさらにつかみかかってきたので、ひょいと跳んでやりすごす。






「くそっ、ちょこちょこするなっ!!」






息吹は舌打ちをして、再び飛びかかってきた。




灯は適当に相手をしながら、目線は泉の方へ向けている。






「そっちこそ!!


今、お前と遊んでいる暇はないんだ!!」





「なんだとっ!?


俺様を馬鹿にする気かっ!?」





「あとでいくらでも相手してやるから、今は勘弁してくれっ!!」





「訳の分からん言い訳をするなっ!!


俺と勝負するのが怖いのかっ!?」





「あーもう、うるさい奴だな!!」






灯はその腹に蹴りを入れた。




ぐっ、と呻いて倒れ込んだ息吹に、「すまんが静かにしててくれ」と告げ、刀の柄で後ろ首を殴って気絶させる。






ようやく面倒事をひとつ片付け、灯は泉のほうへと足を向けた。