「…………なんだ、これは」






二人は呆然としたように水の中を見つめていた。




そうしている間にも、青白い手は汀の腕をすぅっと引く。




まるで、泉の中へと引き込もうとしているかのように。





灯は汀を抱き締める腕に力を込め、離すまいと引き寄せる。





灯の紅い髪がはらりと落ちてきて、汀の頬に触れた。




目の端にかかった鮮やかな紅緋色に、汀は場違いにもほぅと息を漏らした。







「光が当たると、あなたの髪は、本当にきれいね………。


末摘花(すえつむはな)で染めた絹糸のよう………」







心中の言葉をそのまま声に出してしまったことに気づき、言ってから汀ははっとした。