しかし灯は、眉根をきつく寄せ、険しい表情をしている。





初めに気づいた不穏な気配が、泉に近づくにつれて色濃くなっていた。






(…………なんだ、これは。


ひどく不快な、嫌な感じがするーーー)







灯のそんな様子に気づかない汀は、さくさくと水際まで足を踏み入れ、泉のふちにしゃがみ込んだ。





「なんてきれいな水!」





呟いて、そっと手を差し入れる。





はっと我に返った灯が、慌てて制止しようと近づいた、その瞬間。








「……………きゃぁっ!?」






叫び声とともに、汀の身体が、ぐらりと傾いだ。