「………お前なぁ。


そろそろ、その呼び方やめないか。


いつまで経っても犬ころのように呼ばれて、俺は面白くないぞ」






灯が珍しく不服そうな顔をして心中を吐露したが、汀は『犬』という単語に反応する。






「あぁ、犬といえば、青丹丸!!


私の可愛い青丹丸はどうしてるかしら………あぁ、心配だわ、会いたいわ」






「心配しなくても、小桃がちゃんと面倒みてるだろう。


あいつはもともと青丹丸を気に入っていたし、最近やっと懐いたとかで喜んでいたからな」






「そうね、大丈夫ね。


あぁ、でもやっぱり早く会いたい!


ちゃっちゃと泉を見つけて青瑞の姫に会って、一言お詫びをして、さっさと白縫山に戻りましょう!」






「…………戻りが遅れたのはお前のわがままのせいだろうが」






そんな灯の突っ込みはさらりと受け流し、汀は「よぉし!」と叫んで歩き出した。