「いったいどんな重要な用があるのかと思っていたら、ただの好奇心じゃないか!」






「んま、ただの好奇心、なんかじゃないわよ。


やっぱり青瑞の姫の名を借りたからには、一言お礼をするというのが筋じゃない」






「はぁ?


本当にいると思ってるのか、水の精霊なんていうものが………ただの伝説だろう?」







灯が眉をひそめるので、汀はくすりと笑いを洩らした。






「あら、蘇芳丸ったら。


あなただって、近しい存在じゃないの。


あなたは妖狐の子どもなんでしょう?」






「………まぁ、それはそうだが」






「じゃ、あなたがちゃんと存在してるっていうことは、青瑞の姫がちゃんといるってことじゃないの」






「………………」







結局、灯は言いくるめられてしまった。