結局、泉には汀と灯が行くことになった。



藤波は先に青羽山を下り、群雲たちと合流して、山の麓で灯たちの帰りを待つことにした。






「白鷺さんの話だと、こっちの方向に泉があるって言い伝えられているようだけど」





「…………ずいぶんな獣道だな」




灯はげんなりしたように、急な斜面を登って行く鬱蒼とした小道を見上げた。




そして、傍らに立つ汀に視線を移し、釘を刺すように告げる。






「…………半刻だけだぞ。


半刻探して、それでも泉が見つからなかったら、大人しく諦めろよ」





「分かったわ、頑張って探すわね!!」







気合を入れている汀のひときわきらきらとした瞳を見つめて、灯ははっと思い当たる。





「…………お前、まさか」





「え?」





「青羽山でやり残したことがある、とかなんとか言っていたが。



…………まさか、このことじゃないだろうな………?」





「えっ!?」






汀は明らかに動揺した顔になった。





「…………呆れた奴だ!」






灯は溜め息とともに汀の頭を小突いた。