汀が心から不思議そうに首を傾げたので、灯は眉をきつく上げた。






「………おとなしく待っていろと言ったのに、お前が勝手にひょこひょこ出てきて。


しかも兵たちに捕らえられて、えらい目に遇っただろうが!!」






「あー、あのことね!


んまぁ、懐かしいわねぇ、なんだかずっと前のことみたいね」







のほほんと思い出に浸っている汀を、灯は呆れたように見つめた。






「とにかく、頼むから、余計なことをするなよ?


もう何度言ったか分からないくらいだが、本当に、大人しくしていてくれ」






「あらっ、何をするつもりなの?」






「黙って見てろ」






「んま、つれないわねぇ」







不服そうな汀を無視して、灯は足音を忍ばせて川のほうへと歩き始めた。