屈託のない声音で問われて、老婆ははたと動きを止めた。







「…………そういえば。


私はどうして、あんなに働き者の嫁を、馬が合わないと思っていたんでしょう」






すると、薄絹の向こうから、ふふふと笑う声が聞こえてきた。







「…………ねぇ、おばあさま。


私、思ったのだけれど。



もしかして、おばあさまとお嫁さんは、二人きりでじっくりとお話ししたことがないんじゃない?」






「……………まぁ。


言われてみれば、確かにそう………」






老婆は驚いたように目を瞠った。






「きっと、そのせいよ。


ちゃんとお喋りをしたことがないから、お嫁さんがどんな人柄なのか、どんなことを考えているのか、おばあさまはよく分からないんだわ。



だから、なんだか得体の知れない人のような気がして、落ち着かないんじゃない?」






老婆は目から鱗が落ちたかのように、呆然とする。






「そう………かも、しれません。


私は、あの嫁がどんな心根の持ち主なのか、分かっていないのかも………」