すると、薄絹の下の麗しい唇が、微笑みの形につり上がった。





「まぁ。身分ですって?


どうしてあなたは、そんなものを気にするのかしら。


その若君があなたのことをどう思っているか、聞いてみなきゃ分からないじゃない」






「え………っ?


そ、そんなこと、考えたこともありませんでした………。


若君が私のことをどう思っているかなんて………」






「うふふ、まぁ、あなたったら、ちょっと抜けてるのねぇ。



大丈夫よ、あなた、とっても可愛いし、朗らかで穏やかで、気だてもいいし。


あなたみたいなすてきな子を、好ましく思わない人はいないわ!



私なんて、まだあなたとお話しして半刻も経っていないというのに、もうあなたのこと、大好きになっちゃったのよ?」





「………まぁ。そう、でしょうか………」






少女の涙がとまった。




薄絹の向こうの優しげな瞳に心を奪われたように、少女はうっとりとした表情になる。