「で、その青瑞の姫の伝説が、どうしたというのだ?」





「はい………あの、非常に、如何わしい噂なのですが………」






言葉を濁す黒松に、群雲は手振りで先を促した。





「ーーーなんでも、青瑞の姫が山を降り、都にやってきて、占い処を営みはじめた、というのです………」





「……………はぁっ!?」






再び、灯と群雲の素っ頓狂な声が重なった。





黒松も、心中お察ししますと言わんばかりに頷いた。






「………泉の守り神、水の精霊が実在して、しかも占いをするというのか………?」






「………はぁ、そのようで。


東のほうでは、今一番に評判の占い師だというのです」






「…………にわかには信じがたい話だ」






群雲は目を丸くして、呆然と呟いた。