「真偽のほどは、定かではありませんが………。


とにかく、都の東側では、かなり多くの人がその話を知っているようでした。



畏れ多くも内裏に侵入し、賞金をかけられる羽目になった赤毛の男は、青羽山に巣食う盗賊の一人である。


そして彼は、自身が賞金首になったことを知ったため、今は都から離れている、と………」





「……………どういうことだ………?」







群雲は眉根を寄せて黒松の言葉を促す。






「…………分かりません。


灯のほかに、赤い髪をもった男がいるということなのか………。



すみません、この噂に関しては、これ以上の情報は入手できておりません」





「そうか………まぁ、仕方がないな」






群雲は頭をぼりぼりと搔いた。




灯が顔を上げて黒松を見て、小さく呟くように言う。





「…………それで、もう一つの噂というのは?」





黒松が頷き、話を続けた。