そんな二人を、藤波と息吹は無言で眺めている。





(…………なんなんだ、この茶番は)





純粋すぎる配下・天城に、息吹は思わず
呆れ返る。







(…………予想もつかなすぎる、この展開。俺はもうお手上げだ!)





藤波は溜め息さえも出なかった。







天城を騙しおおせたことで調子に乗った汀は、にっこりと微笑んだままで息吹を見上げる。






「さぁ、じゃあ、契約をしましょ!!」






「…………は?」






「私は青瑞の姫として、あなたの望むことをしてあげる。


お金が欲しいんなら、協力するわ」






「…………ほう?」







息吹は眉を上げてにやりと笑い、つやめく黒髪を掻きあげた。






(………なんだか訳の分からない女だが、ものは使いようだからな。



これは、金になりそうだぞ)