並んで仲良く穴掘りをしていると。





「…………あら?」





汀が小さく呟いて顔を上げた。




つられて藤波も顔を上げる。






「…………どうしたの?」





「…………足音!!」






汀が小さく叫び、赤毛の鬘をばっと外した。




その鬘を、掘りかけの穴の上に被せる。





と同時に、一人の人物が現れた。






「…………お食事を持ってきました」






囁くような声で言ったのは、大人しそうな、髪の長い女だった。






「私は白鷺(しらさぎ)という者です。


息吹に命じられて、あなた方の世話係になりました。


以後、よろしくお願いします」





「………えっ、えぇ!! よろしく!!」






汀はわたわたしながら答えた。




白鷺は不思議そうに汀の手元の鬘を見つめたが、黙って食事を牢の中に差し入れ、そのまま立ち去っていった。






「…………危なかったわね!」






白鷺のほっそりとした後ろ姿を見送り、汀はほっとしたように冷や汗を拭った。