(…………牢に囚われてもあっけらかんとして、何も考えてないような顔をしていたけど)






その裏で実はちゃんと身の振り方を考えていたのかと、藤波は汀を見直したようにその横顔を凝視した。









地中に埋められた木の格子の近く、柔らかい土に、二人で穴を掘る。





格子の根もとが見えるくらいまで穴が深くなると、汀はいったん手を止めた。





そして根もとを握ってぐいぐいと引っ張ってみる。






「…………まだ、だめねぇ。



もうちょっと掘らないと、抜けそうにないわ」






「そうだね」





「もうひと頑張りよ、藤波ちゃん!」






にっこりと笑いかけられ、藤波も笑みを返した。