「ナナミ様、早くこちらへ……」
せかされて鏡台の前に座るとリマさんはいつもの髪型ではなく横に一つに纏めて花の髪飾りをつけてくれた。
「これでいいですか?」
「うん、ありがとう。いつもより大人っぽくなったみたい」
「残念ですね……」
「えっ?」
「あのペンダントがあれば今日のドレスに似合いだったのに……胸元が寂しいですね。何か着けますか?」
「要らない。主役は私じゃないしこれで充分」
リマさんが選んでくれたこの淡いブルーのドレスは色がきれいだしいつもより自分が大人っぽく見える。
それだけでも満足しているけど確かに……王妃様から譲り受けたあのペンダントならこのドレスに似合いそう。