「僕と会ったことは誰にも話すな」そうディアナに言葉をかけて東の宮殿に戻って来ると部屋で待機していた側近のムハトが心配そうに寄ってきた。


「アデル様!ご無事でしたか」


「今の所はなんともないよ」


「全くお一人であの女の所に行くなんて無茶です」


「ディアナが本当に記憶を無くしてるのか確認したかったんだ」


「確かに記憶があるのなら、やっかいな事になるかもしれませんね」



「暫くは大丈夫そうだよ。本当に記憶はないようだった」


「とりあえずは安心ですね」


「とりあえずは、ね。だけどいつ思い出すか解らないし最後までバレるわけにはいかないよ。引き続き監視が必要だね」


「お任せください。手は打ってあります」