部屋の外にはリマさんだけではなく何人かいるみたいで話し声と物音がしている。


「……チッ、気付くのが意外と早かったな。もうしばらくは気を失っていてもらうつもりだったのに。
きっと誰かが解いてしまったんだね」


「リマさんたちに何をしたのっ?」


「別に痛いことはしてない。
ただ眠っててもらっただけだよ。キミにもちょっとの間眠ってもらうよ」


何かを唱えながらスッと顔の前まで伸びてきたアデル王子の手の平が目の前で閉じてまた開いた時には体が重くなってベッドに沈んだ。

「ペンダントはもうしばらく預かっておくことにする。『僕と会ったことは誰にも話すな!』」


『僕と会ったことは誰にも話すな』

ボーッとしてきた頭の中にアデル王子が言った言葉だけがいつまでも響いていた。