「いってきまーす!」

「はいよ。気をつけてな」


おじいちゃんに見送られ、私は6畳二間のちょいボロアパートを後にする。

頭上には水色の空と白い雲。

そして、9月もまだ始まったばかりの太陽の熱は8月と変わらずジリジリと焼け付くようだ。

耳に届くセミの声も元気いっぱいで。

私はそんなセミの声に背中を押されるように足を早めて学園へと向かう。


私が生まれてから17年住み続けているこの街は、どちらかといえば田舎。

栄えているのは街の中心部である駅の周りだけ。

学園も駅から徒歩10分ほどのところに建っていて、私は駅までバスを使って通学している。

いつも通りの時間に家を出て、いつもの時間のバスに乗ると、いつも会う人物が一番後ろの席に座っていた。