遥希が立ち止まったのは、あるライブハウスの前だった。 遥希みたいにギターケースを持っている人や、見るからに『バンドやってます』みたいな服装の若者が目に付く。 私と同じ年頃の男の子や女の子。 「ここ…?」 自分が場違いな所に来てしまったような気がして、思わず確かめるような聞き方になってしまう。 遥希は笑顔で頷くと、私の気持ちなどお構いなしに地下に続く階段を下りる。 黙って手を引かれるまま付いていくしかなかった。