心地よい温もりに包まれて目覚めた。


耳をすますと、小さな鼓動の音と寝息が混ざる。


時計は八時を少し回ったところ。


いつの間にか眠っていてしまったことに気づく。


遥希を起こさないように、慎重にソファーから降りる。


抱きしめられていた肩には、まだ遥希の体温が感じられた。


目の前に眠る遥希の顔を覗き込む。


少しタレた大きな目に長い睫毛。


黒い艶のある髪が、その睫毛にかかって揺れている。