何気なく窓の外を見ていると、タクシーは高層マンションが並ぶ大通りを走っていた。

さらに五分程走る。

タクシーが止まったのは、あるマンションの前だった。


運転手が料金を伝える。

後部座席に振り向き、少し驚いたような顔をしたけれど、すかさず美桜が用意していた五千円を差し出した。


「お釣り、いりません。」

「あ、はい。ありがとうございました。」

運転手は料金を受け取ると、愛想良く笑顔を見せて後部座席のドアを開けた。


美桜に急かされるようにタクシーから下りる。


そして、目の前のマンションを見上げた。