盛り上がるファンに多少圧倒されていたものの、ライブが終わる頃にはその雰囲気にすっかり呑み込まれていた。
遥希は終始心配そうに声を掛けてくれ、隣りで手を握ってくれていたし、ライブの合間には自分の知り合いを紹介してくれたりした。
午後8時30分。
「美桜、明日から学校だろ?もうそろそろ帰った方がいいんじゃないか?」
「うん。そうだね。」
正直まだ帰りたくはなかったけれど、遥希の言う事には素直に従った。
「じゃあ、送ってく。」
2人で歩く道のり。
ずっと手を繋いだままで。
隣りに遥希がいるという事。
同じ時間の流れのなかにいられる事が、嬉しかった。