「兄貴が生まれた頃に、小さな整備工場を始めて、親父は家族の為に必死で働いて…。まあ、母さんが死んでからも、それは変わらなかったけどな。」


そこまで話すと、美桜の視線を受け止めた。


真っ直ぐで、とても優しい美桜の瞳がキラキラと光って見える。


「まあ…器用とは言えないけどさ、親父は親父なりに俺と兄貴を育ててくれたんだ。3つ上の兄貴は、親父の工場継ぐんだって言って、高校卒業してから親父と一緒に働いて。夢だの何だの言って、いつまでもフラフラしてるのは俺だけ。」


笑って見せるつもりだったのに、上手く笑えなかった。