「美桜の名前って、誰が付けたの?」
唐突な質問に、少し戸惑うような顔で見つめられた。
「名前…?ママだよ。私の生まれた病院に、大きな桜の木があったんだって。
窓を開けると満開の桜が見えて。だから美桜って名前にしたんだって、小さい頃話してくれた。」
美桜は、懐かしそうにちょっとだけ微笑んだ。
「そっか。美桜にぴったりの名前だな。」
「遥希くんは? 誰が名前付けてくれたの?」
「俺も母親が付けたって、親父が言ってた。理由は聞いた事無かったけどな。聞きたくても、もう聞けないしさ。」
もう一度、桜を見上げた。