美桜がチラッと腕時計に目線を落とした。
つられて時計を確認すると、8時20分になるところだった。
「美桜、そろそろ帰るか?」
「うん。そうだね。こう見えて私、一応高校生だから。」
美桜はそう言うと立ち上がり、皆に挨拶をした。
「今日は、図々しく打ち上げまでお邪魔させてもらっちゃって…本当、楽しかったです。」
「あれ、美桜ちゃん帰っちゃうの?」
「えー、なんか寂しいじゃん。」
「美桜ちゃん、またライブ見においで。絶対、約束ね。」
一斉に酔っ払いが絡み出す。
「俺、ちょっと美桜送ってくるわ。」
面倒臭くなる前に店を出た方がいい。
そう思い、靴を履くと先に外に出た。