帰りの車の中では、お袋も俺も無言だった。
とてもじゃないけれど、何か話すような気分にはなれなかった。
「春斗。来週から…里桜ちゃんたちと旅行でしょ?」
沈黙を破ったのはお袋だった。
「うん」
「楽しんできなさいね?」
俺は何も言えなかった。
辛いはずなのに、こんな親不孝な息子に気を使ってそんなことを言ってくれているお袋の前で…。
泣きそうになったからだ。
今……ものすごく里桜に会いたい。
俺、辛い時にはいつも里桜に会いたくなるんだ。
それくらい、里桜が大好きだ。
それなのに…。
俺はずっと君のそばにいることができないなんて…。