そのとき、小学校4年生だった俺は、脳腫瘍という病気が、そんなに重いものだとは思っていなかった。
だから、隣でお袋が泣き出したけど、何も言うことができなかった。
俺はその日から入院することになり、せっかく友達がたくさん出来た学校も、転校してきてわずか三ヶ月で、行くことができなくなってしまった。
薬の副作用はものすごく辛く、こんなに辛いなら、もう死にたい。
そう思っていたけれど。
ある日お袋は言った。
「リオちゃんママから聞いたけど…リオちゃん。毎日、春斗に会いたいって言ってるみたいよ?」
里桜…。
それから俺は、どんなに辛い副作用でも、絶対に耐えて、この病気を治して…里桜の隣に帰ろうと思った。
それに、主治医の先生も、とても親身になってくれたし、辛くても頑張れた。
里桜。待っててくれ。
絶対に会いに行くから……!