彼は私を、“里桜”と呼んだ。


みんなは私を、“リオ”と呼ぶのに。



彼は、私の本当の名前をいつも呼んでいた。



でも、たまに“リオちゃん”と呼ぶときがあった。



大抵それは、何かを企んでいるとき。



だけど、何かを企んでいるときの表情も



私の名前を呼ぶ声も……




すごくすごく好きだった。




私は、彼の全てが好きだった。