「ママ」
「あら、リオ。まだ起きてたの?」
夜中の12時。
私はお風呂から出て、リビングに来た。
ママに話すことがあったからだ。
「あのさ、私…。春斗と…婚約、しました…」
私は、赤くなった顔を見られないように、下を向きながら言った。
「よかったわね。リオ。春斗くんなら、安心だし」
「ありがとう」
「リオも、もう16歳か〜。立派になったわね…。もうお嫁に行っちゃうのね…」
「ママ、気が早いよ。あと二年もあるって…」
「二年なんてあっという間よ。ママ、早くあなたの花嫁姿が見たいわ!」
「……花嫁姿か…」
結婚式のとき、私、号泣しちゃうんだろうな…。
春斗曰く、泣き虫ですから!!
「パパは少し寂しそうだったけど…大丈夫かしらねぇ?」
そう、首を傾げながら言うママの姿を見ていると、また涙が込み上げて来た。
「ママ……16年間、育ててきてくれてありがとう。そして、あと2年間も、よろしくね…」
ママは泣きながら言う私に、少し驚きながらも、優しく笑ってくれた。
今まで、いつも家にいないのに、帰って来れば口うるさいと思って、両親に反発してきたけれど…今、ちゃんとした感謝の気持ちをきちんと伝えられた。
でも、これからはもっと、親孝行できるように頑張ろう。
そう決めた、16歳の私でした。