「私ね、裏切っちゃったのっ..」
なんで、自分がこうしたのか、今でも分からない。
私は、全てを雅に話した。
。
「同じ名前なの..雅と。
私、ずっと、今でも大好きなの。なのに、裏切っちゃった。
自分が大切すぎて、雅の事、考えてあげられなかった。」
途切れた言葉で話す私。
雅は、黙って聞いててくれた。
「私、最低な人だよ。雅を傷つけたのに、こうして幸せなんて。雅は何も悪くないのに..。」
何かの糸が切れたかのように
私の涙は、溢れていく。
言葉が詰まる。
。
そんな時_
「もういいよ。優奈。」
雅が、辛そうな表情を浮かべ
そう呟いた。
そして
「私、雅だよ。加藤雅。」
。
「...。」
雅の名字を話した覚えはない。
何も考えられなかった。
雅が、あの雅?
溢れ続けていた涙が、途切れる。
瞬きさえできなかった。
一瞬でも目の前を闇にしたら、
何も信じられなくなりそうで...
。
「雅、何言ってん...」
「あの後ね、お父さんが私に耐えられなくなって、出て行ったんだ。」
遠い目を見て話す雅。
「お母さんが再婚して、今の名字が横山。」
そう話した瞬間、
雅は私のほうを見て、笑顔を見せた。
。
「あの時は辛かったけどさ、今はもういいの。」
どこか吹っ切れた表情の、雅。
「優奈、覚えててくれたんでしょ?ショップで働くこと。」
目がしらが熱くなる。
「それに、私とのこと、今言ったように思っててくれてたんだし、なにより、大好きな優奈がそれで幸せだったんだよ。」
だからいいの、というように、
雅はそう笑顔で伝えた。
。
「でも、何で黙ってたの...?」
「優奈と、また一緒に居たかった。加藤雅だなんて分かったら、きっと一緒にいてくれないと思って。」
雅は人ひとつ、間を置いてから
「でも、今の優奈の言葉で、大丈夫だって思えた。」
「雅...」
「ごめんね。優奈。」
「ううん!私もごめん...」
2人とも泣きながら、その日はずっと一緒にいた。
。
あの時、人を信用なんて、もう絶対しないって決めたのに。
簡単に雅を信用してしまった。
けど、よかったんだ。
こうなって当たり前な事を、私はしたんだし
その相手が、雅だったから。
でも、気づいていればよかった。
雅が、『変わりすぎていた』事に。
。
翌日
「おはよー..」
「おはよ..って、優奈ヤバイ!」
「え?」
「目!!!」
「えー...?」
あの後たくさん話して、眠りこけた私たち。
朝目を覚まして、こんな感じ。
で、おきた瞬間目を指摘されたから、
鏡で見てみた。
。