休憩時間
「優奈ちゃん、さっきのあの子、お友達?」
雅さんが、そう話しかけてくれた。
「はい!」
「かわいくて、明るい子だねー!私もあんな友達いたらなー」
「え!?雅さんこそ、うらやましいですよ!」
「そう?私友達少ないよー?」
「いえいえ!誰からも好かれて、羨ましいです。」
「ふふ、ありがとう。」
そう言って笑う雅さん。
本当に、素敵だと思った。
。
あれ?そういえば...
「雅さんと私、同じ年ですよね?」
「そうだねー。」
「ってことは、去年まで高校生ですか!?」
「うん。そうだよ。」
絶句。
こんな大人っぽい人が、同い年。
。
「え..?でも、今正社員ですよね..?みんな知り合いっぽいし..」
「ああ、去年までずっとアルバイトしてたの!卒業したら、正社員って言う感じ」
「なるほど。ちなみに、高校どこだったんですか?」
なんとなく、聞いてみた私。
「あ..K高校だよ!」
一瞬、言葉が止まったのは、聞き流した。
。
「そうですか。じゃあ、私の高校と、結構遠いですねー。」
「そうなんだ!どこの高校?」
「S高校です!」
「あ、遠いねー」
たわいもない会話を続ける私たち。
「雅って呼んでよ!ためで話そ!同い年なんだし、同じ日から正社員だし」
「え、ありがとう!じゃあ、私も優奈で!」
楽しい生活の、始まりだと思った一瞬だった。
。
私たちは、すぐにショップの2大人気店員となった。
offの日は、いつも一緒にいるくらい。
最近では、雅と理沙も一緒にいるようになった。
ある日のこと_
今日のオフは、私の家に3人集まっていた。
「あ、彼氏から連絡来たっ!」
「うわ。理沙ノロケかよー」
何て言いながらも、笑いあってる私たち。
「今から彼氏んとこ行くわ。」
「マジ!?いってらー。」
そう言う理沙は、なんだかうれしそうだった。
それもそうだ。
理沙は、もうすぐ結婚する。
。
「赤ちゃん作れよ!」
と、私。
「結婚したらね!」
と、理沙。
「羨ましーい!馬鹿ー!!」
と、雅。
いつもこんな感じで、3人いる。
「じゃーね!」
と理沙はでていき、雅と2人になった。
。
「いいなー。高校の時の子と一緒に入れるなんて。」
「えー?雅もいるでしょー?」
「んー。あんま仲良い子いなかったしな。バイトづくしで。あんまいい思い出ないな。」
その雅の言葉で、一瞬
『あの』雅の事が頭をよぎった。
。
「私も...だよ。」
「え..?」
雅が驚いたような表情で聞いてくる。
無理もないよね。
いきなり、涙を流されたら。
。
何かのスイッチが入ったかのようで
私の涙は止まらなかった。
「私もっ...うぅ..」
息が詰まる。
声を出すのがやっとなくらいで。
「優奈...。話し聞こうか?」
「うッん...。」
。