昼休み、まだ亮太は来ない。
見つからないように、亮太の働いているショップをのぞく。
「いない・・・か。」
どこ行ったんだろう。
私のところには来ないの?
ちくりと、何かが刺さったような気持ち。
「や、忙しいんだ。きっと終わったら、来てくれる。」
そう言い聞かせて、昼食を食べに行く。
。
******
「お疲れさまでした~!」
店内に、高い声が響く。
結局、来なかったな。
亮太。何で来ないの?
少しの期待を背負って、ケータイの履歴を探す。
メール2件
ちょっと、期待してしまった。
急いでメールを開いた。
けど、そこには期待したものはなかった。
優奈
は~い、雅ですよ!
昨日はどうだった~??
優奈まで、結婚するなよ!
また聞きこみするからねww
雅
雅からのメール。
ちくりと、とげが刺さる。
もう一通は、ただのセールスメール。
亮太、亮太。
会いたいよ。
。
一週間後
時がたつのが、最近早い。
あれ?いつの間に一週間たったんだろう。
それもそうだ。
私の心に、ぽっかりと穴が開いた。
私の隣にも、空気がいる。
亮太が、消えた。
。
亮太から連絡もないし、店にもいない。
さすがに心配になって、あの時から3日後に、ショップのチーフに聞きに言った。
そしたら、ショップをやめたって聞かされた。
理解できなかった。
なんとか連絡を取ろうと、電話してみたら、
機械音の声。
現在、この電話番号は使われておりません。
だって。
。
再び、闇に包まれていく。
周りが見えなくなりそうで。
誰も周りにいないみたいで。
『あの時』が蘇る。
周りは真っ暗で、死にたい思いだけが募っていく瞬間。
亮太、何で消えたの?
あなたは、私の何なの?
なんだったの?
。
♪~
突然、携帯が鳴った。
死にかけた神経が、生き返るように、私は飛びついた。
亮太かも!
その一心だけだった。
けれど、目に見えた名前は、
雅だった。
。
ああ、そう言えば、2日間無断欠勤だったっけ。
麻痺していた神経が、ちょっと戻った。
ボタンを押し、電話に出る。
「優奈っ!?何してるの・・?」
「雅・・・」
「・・・なんかあった?」
「雅、私どうしよう。」
「優奈、待ってて。仕事終わったら行くから。絶対家にいてね。」
「うん。」
そう言って電話が切れた。
昼の一時。
昼休み中じゃんか。
忙しいのに、電話、ありがとう。
。
____________それからすぐのように感じた。
ピンポーン
家のチャイムが鳴る。
時計を見ると、夜の11時。
雅かな。
ずっと座って丸まってたから、立った瞬間ちょっと足がしびれた。
誰かも確認せず、ドアノブに手をかけ、
ドアを開いた。
。