たっぷり暖まって、湯からでた所でイオに手を掴まれた。
イスに座らせられて、ゴシゴシと体を擦られる。



「や、いたっ……!」
「黙っててー、うまく洗えない。」
「離せよ!ほんとに……っ、痛い!」



容赦なく擦られた肌は、赤くなりシャワーをかけられるだけでヒリヒリする。
髪も洗って、風呂から出る頃にはユキは半泣きになっていた。



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「う……っ。」
「ユキが自分で体も洗えないなら、やってあげるしかないじゃない。何が不満……?」
「なんでもない!」
「ま、イヤでも何でもやるけどねー。」



ユキは文句こそ言わなかったが、視線は強くイオを睨み付けている。
と、イオは立ち上がりユキに近づくと後ずさるのも無視して、ブカブカのシャツの襟を掴んでどこかちがう部屋へ引きずっていく。



「やっ……!いやだ、離せよ!自分で歩くから!」
「それ以上うるさくすると、猿轡噛ませるからね?いやなら、黙ってて?」
「ひぅ……っ!」



髪を掴まれ、ベッドに放り投げられて。
ユキは我慢できずに泣き出してしまう、まだ10歳にもならない子どもがいきなり乱暴されれば誰だってこうなる。



「っ……悪かった、ごめん。」
「ごめんなさい、ごめんなさい!痛いことしないでっ、謝るから……!」



すっかり、怯えてしまったユキに近づくことも出来ず。
イオは伸ばしかけた手を引っ込めて、ユキに毛布をかけてやる。



「もう、寝なよ。手当ては明日してあげる。傷が残ると困るし、ユキも嫌でしょ?」
「……ん。」



小さく返事が返ってくると、イオは少し安心したような声で“おやすみ”とだけ言って部屋を出ていった。

部屋にひとりになる。