食事の後、ユキは風呂に入るのを嫌がった。
イオは、それならそれでもいいと言ってちがう部屋に入っていった。

しばらくして、出てきた両手に持っていたのは丸い透明なボール2つ。
何かはわからないが、ほんのり良い香りがしてくる。



「ユキー?お風呂、自分と入ろう。」
「いやだ!恥ずかしいだろ!」
「いーじゃない?自分、胸がデカイとか、ナニがデカイとかじゃないし。」



意味があまりよくわからないユキにも、なんとなく卑猥な単語だと伝わったようで、顔を真っ赤にして怒りだした。
だが、イオはどこ吹く風といった感じで取り合わない。



「まーまー、早く脱いで。お湯一杯にしたから、入らないともったいないし。」
「ちょっ……ま、えぇ!?」



ユキがバタバタと手足を振るのも構わず脱衣所に連れていかれ、服を脱がされてしまうと腰にタオルを巻かれた。



「結局、拒否権なんかないんじゃないか……。」
「だから、言ったじゃない。自分の所有物なの、ユキは。」
「……わかったよ。」



ふてくされたように言って、ユキは風呂場に足を踏み入れた。
そして、浴槽の中を見て思わず声をあげた。



「わぁ……。」



真っ白な泡が浴槽にたっぷりと入っていて、花のような果物のような良い香りがする。



「これ、初めて見たのー?自分とお風呂に入るなら、たまにこれするよ?」
「え!」
「せっかくだし、入ってみて?」



促されて、キュッとシャワーを捻るとユキはおそるおそる足にかけた。

熱くない……。
適度には暖かいが、火傷するような温度ではないことがわかり、軽く体を暖めるようにお湯をかけると浴槽に体を沈めた。



「あったかい……。」
「良かったねぇ?」



ニヤニヤ笑う表情はさっきと変わらず、ちょっとイライラするような感じがする。
それでも、良い香りが体を包む感覚が心地いい。