イオは、言いたいことを言い終えたのか、スタスタとキッチンへと入っていった。
冷蔵庫を開けて、食材を詰め込む音がする。



「ユキ。食べたらダメなもの、ある?」
「や、ない。」
「簡単になにか作るから、まず食べたら?死なれても困るし。」



さらっと言うと、海色の髪をゆるくまとめて邪魔にならないようにしてから、ザクザクと大雑把すぎるくらいに野菜を切っていく。
ユキから見ても、かなり危なっかしい手つきで。



「なぁ、イオ。」
「んー?」
「料理したことあるのか?手つきヤバイけど……。」



おそるおそる、ユキが話しかけるとイオは呆れるほどにこやかに笑って。



「ないよー?自分は、フルーツとビネガーがあれば生きていけるし?」
「血だらけの野菜炒めは作らないでな?」
「あははー。」



結局、野菜炒め……のはずだったものは、見事に消し炭みたいな物体になり。
ユキは、イオが差し出したぶどうとリンゴを食べることになった。