「あの人達のところに返してくれよ!なんなんだよ、オマエ!」
「やだ。自分はキミで遊ぶって決めたから。」
「こんなことしたって、すぐに特級警備隊がくるんだからな!」



特級警備隊。

普通なら、たじろぐだろう単語にイオは声を上げて笑い始めた。



「バカだねぇ、警備隊が何してくれるの?諦めなよ。助けなんか、来ない。」
「いやだ!おれは、來夏(らいか)さんのところに帰るんだ!」
「うるさいー。」



ガシッと、頭を掴むと息がかかる位の距離で視線を合わせられる。
色の無い、冷えた視線。



「ま、いーや。自分がご飯もあげるし、お風呂も支度するし。キミは……あー、ユキって呼ぶね?ユキは、黙って足下にかしずけ。」



傲慢。

最初に頭をよぎったのは、その単語だったが、もう乱暴されるのは嫌なので黙ってイオの近くに座った。



「そう、イイコ。」



また、叩かれる!手が伸びてきたのを見て、ユキは体を固くした。
だが、いつまでたっても衝撃は来ない。

そうっと、目を開ければ、優しく頭を撫でられた。
髪をすくように、本当にそうっと。



「ぁ……。」
「イイコだね、ユキ。」