しばらく、眠ってしまっていたらしい。
目を開けると、すぐ側でワインを飲むイオがいた。
右肩には、包帯が巻かれているにも関わらず血がにじんでいる。 



「おはよ。外はどうだった?」
「危険なら、何で言わなかったんだよ!おかげで死にかけたんだぞ!」
「だから、言ったじゃーん。死にたいなら、出てみたら?って。」



イオは、のほほんと切り返し美味しそうにワインを口にする。
ユキは、何だか腹が立ってイオの包帯目掛けて腕を降り下ろした。

避けられるだろう、そう思って。



「ぐっ……!?」
「え、何……で。」
「あ……ぅ。」



元から塞がりきらない傷が開き、おびただしい量の血が床を濡らしていく。
イオは、青い顔をしながらどこかに連絡し始めた。



「……今夜は、大人しくしててよ?今なんかあっても、対処できないから。よろしくー。」



およそ怪我人とは思えないテンションで、ユキに話しかけるとイオは肩の傷をタオルで縛ってから外に出ていった。



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「よくもまぁ、これだけ派手に傷を開かせたな。」
「あはは、それはユキに言ってよ。自分は早めに処置したんだからさー?」


 
痛みに顔をしかめる事もなく、患部を縫われて処置が終わるのを待つ。
イオは、肩の傷を見つめて今夜は警備配置を見直さなければいけないなと思い直すのだった。



「ほれ、終わったぞぃ。今度は上等の酒でも持ってきて欲しいもんじゃ。」
「ワインかブランデーなら、今度持ってくるよー?いつも、助かる。」



ニコニコ笑って礼を言うと、金貨を1枚置いて家の方へと歩き出した。
肩がズキンズキンしまくりで、今夜は眠れないだろうがイオにはあまり関係ない。
部屋に入ると、ソファに寝そべりパソコンを開く。