上沢さんがあたしを好きじゃないのは、最初から分かり切ってた。
好きとか想いとか、そんなのあたしたちの間になんかなくて
だけどそれを上沢さんに生ませて、散々弄んでやろうって思っていたくらいだった。
それなのに、今はっきりと
(関係ないの、そんなのは)
そう言われて、
胸がナイフでえぐられるように痛くなってる。
まだあたしを好きになってくれてないわけ?
きっとそんなプライドが傷ついているだけ。
だから決して、心が傷ついているわけじゃない。
「琴音っ……」
「……」
そんなふうに、
苦しそうに……切なそうにあたしを見下ろす上沢さんに
泣きたくなるくらい胸の奥がきゅっと切なくなっていて……
「なんで、そんな顔してんだよ」
「……なんのこと?」
少しずつ気づき始めた
自分の心の奥底の真実の気持ちに
まだまだ気づかないふりをしたかった。