そう言った健太の顔は、今まで見てきたどの表情よりも真剣だった。
不覚にもドキッとしてしまった自分がいて
だけどその言葉に不信を抱きながら健太の顔を見返した。
「何言ってんの。
アンタには玲子さんがいるでしょ」
「そうだけど……。
でも……俺はやっぱり琴音が好きなんだよ」
「……」
「茜のときもそうだった。
いい加減な気持ちであんなことをしたんじゃない。
琴音が好きで……どうしても手に入れたくてっ……」
悔しそうに嘆くその言葉に
だんだんと熱が冷めていくのが分かった。
ああ、こうやって
過去のあたしは流されてしまったんだ……。
「悪いけど……。
どうやったっても、あたしは健太のこと、恋愛対象として見れない」
「……」
「ごめんね。
送ってくれて……っ!?」
これ以上、この場にいるのが耐えられなくなって、車から降りようとしたときだった。