「前と同じところでいいの?」

「うん。けど、いいよ。適当な駅で。
 まだ電車あるんだし」

「いいのいいの。俺が誘ってこんな時間まで付き合わせちゃったんだし」

「……ありがとう」


お互いにわだかまりがなくなって、1時間ばかし談笑した。
車で来ていた健太は、この前と同じように家まで送ってくれるという。


日も浅いということもあって、家までの道のりは覚えているらしく
迷うことなくマンションの前に着いた。

上沢さんのマンションの前だけど。


ここは本当は違う。と言おうか悩んだけど、
それはそれで説明するのもめんどくさいと思ってここで降りることにした。



「じゃあ、送ってくれて……」

「琴音」



玲子さんの手前、もうこうやって二人で会うことはしないだろう。と心の中で思いながら、シートベルトに手をかけたときだった。

さっきまで話してた声と少しだけ違う声色。

不思議に思って、健太へと顔を向けた。
 
 



「俺たちさ……

 本気で付き合わない?」