「琴音……」
「少し前のあたしだったら、多分まだあんたのこと許せてなかったと思うけど」
多分、あたしがまだ、
眼鏡に一本縛りというスタイルのときだったら、
健太がどんなに謝ってきても許せなかった。
だけどもう、あたしはその時の自分を捨てて
再び前向きで生きることができているから……。
ある人のおかげで……。
「だからもういいから……。
今はもう、玲子さんのこと、大切にしてあげなよ」
「……おう。ありがとう!」
許しの言葉を聞けた健太は、本当に安堵した表情で
昔茜の前で見せたような、屈託のない笑顔を向けてくれた。