「やめてよ。
もうあたしは、これ以上アンタと関わりたくないんだから」
「へー。じゃあ、話してもいいの？玲子に」
「……べつに。
そんなの過去の話じゃん。今のあたしには関係ない。
それで玲子さんがあたしを嫌ったりしたら、それはそこまでの関係だったってこと」
冷静になって考えればそれだけだ。
さっきは、せっかく仲良くなった玲子さんに、自分の過去を知られたら嫌だなんて思って咄嗟についてきたけど、
でもべつに今のあたしは何も人に嫌な気持ちをさせるようなことはしていない。
じっと健太を睨んで、次に出る行動を待った。
向こうも何を考えているのか分からない、真っ直ぐな視線を飛ばしてくる。
だけどそれが、ふっと緩んだ。
「……なーんてな！
ごめんごめん。嘘だって」
「……は？」
ケラケラと、大口を開けて笑い出した健太。
急なその態度に戸惑いを感じ、ただぽかんと見つめていた。
「琴音」
「……何？」
「悪かった！」
そして健太は、深く頭を下げて謝ってきた。
