「チョコとかも入れたりすんねんて。」

「えー、美味しいんかなぁ?」

私は眉間にシワを寄せて絵里奈に聞いた。

「さー、テレビでやってたくらいやからなぁ。今度やってみる?」

質問に質問で返された。

「あたしは遠慮しとくわ。」

私は“お手上げ”のポーズをしてそういった。

「なんでやねん!ほな美味しかっても教えへんからな。」

絵里奈はたまに意地悪をいう。でも本気で言っているわけではないので、私は別に気にしない。

「別にいいですよ。でもなんか、そこまでしたら“カレー”いうより“闇鍋”みたいやんな。」

「そうやな。」

「あ、でも色も形も似てるし、案外いけるかもな。」

「さっき遠慮します言うてたやん。」

私はよく矛盾する。絵里奈はいつも、それを笑う。
親しき仲にも礼儀ありとは言うが、絵里奈とあたしの間には礼儀なんていらない。気遣いなんて2人の間には必要ない。とはいっても絵里奈も私も人並みの常識は弁えていた。