「いいですか?坊ちゃん。あなたはこのカリム盗賊団、ハーディお頭の一人息子です」
ウホッチに服を着せられながら、説明を受ける。
「宿敵ジャリル一味と手を組むフリをするのは、このワームの洞窟に巣食うモンスター、キングワームを仕留めるためです。ヤツを倒すのは一筋縄ではいかないですからね」
「ふぅん。で、なんでそのモンスターをやっつけたいん?」
「そりゃあ坊ちゃん!!キングワームと言えば、この辺りでは名の知れたモンスター!!そいつを倒して、その核を手に入れられれば、カリム盗賊団の名が上がるんですよ!!」
「核って?」
「モンスターは死ぬと肉体は消滅し、心臓――つまり核のみが残るんです。核とは宝石のようなもので、とっても綺麗なんですよ」
「へぇ」
俺の気のない反応に、ウホッチは大きく溜め息をつく。
「そういえば坊ちゃんは、まだモンスターを倒したことがなかったんですよね・・・。全く、お頭が甘やかすから」
え?甘やかしとるか?そうか?どこが?アレで?
「こんな状態で次期頭領が務まるのか・・・」
「別に務めた~ないわ」
「なんということを!!」

着替えが終わったのをいいことに、俺はベッドにダイブした。

ボスンッ!

「ああっ、いけませんよ!正装が乱れます!」
「正装?このアラビアンナイトみたいな格好が?」
「そうですよ!今日は大事な日なんですから!」
「知っとる知っとる。仲直りと見せかけての不意打ち会やろ?」
「それもありますけど、今日は大事な祝言の日じゃないですか!!」
「祝言・・・て結婚式やな?誰の?おめでとう」
「何を言ってるんです、アユム坊ちゃんのですよ」
「ふーん・・・・・・。――て、何やて!?」