「ココ、ドコや?」
見たトコ、洞穴ん中みたいや。

「ドコって、俺達のアジトの坊ちゃんの部屋じゃないですか」
デカい図体にそぐわぬクリクリした瞳が、不思議そうに覗き込む。
「そっか。ココはゲームの中やったな。で、俺は坊ちゃんなんか」
「寝ぼけてないで早くお頭の所に行って下せぇ!!」
「ハイハイ、わかった。で、お頭てドコにおるん?」
「ご案内します!ホントに坊ちゃんは朝に弱いんだから・・・てゆうか、もう昼ですけどね!?」
「俺の事、よう知っとるような口ぶりやなぁ。朝弱いんは当たっとるわ」
「そりゃ13年間、誰が坊ちゃんのお世話をしてきたと思ってるんです!?」
「今さっき会うたばっかのオッサンにゆわれたないわ~」
「何、寝言言ってるんですか!さ、行きますよ!」

急かされてベッドから降りると、オッサンは俺の手を引いて走り出した。
部屋の外もやっぱり土ん中で、なんか地底基地みたいや。

「オッサン、名前なんてゆうん?」
「おっさ・・・、ウホッチですよ!!」
「うほっ・・・、なんや!?あだ名か!?いじめられとんのか!?」
「何でですか!?」

土トンネルの中は無数のドアがあって、まるで迷路や。
しばらく行くと、広い道に出た。
正面に大きなドア。
明らかにさっきまでのドアとは違う特別感を醸し出しとる。

「さ、坊ちゃん」
入るように促され、仕方なくドアを開けると――