「…そういえば、李さんは兄弟はいるのかい?」




藤里さんが日本酒を呑みながら私に尋ねてきた。




そっか。
お母さん、そこまでは話してなかったんだ。




私は藤里さんのグラスにお酒を注ぎながら答える。




「…はい。姉がいます。
日本や世界を飛び回ってます」




席に戻ると、夕里が私に耳打ちをしてきた。




「…李にお姉さんがいたんだね」




それにコクリと頷く。




お姉ちゃんはモデルをしていて世界各国に行ってたけど、最近モデルを辞めて今は服をデザインしたりしている。




そういえばお姉ちゃんはここに来るのかな?




そう思ってお母さんを見ると、お母さんはニコッと笑った。




すると廊下から足音が聞こえてきた。