「…息子が勝手なことをしてしまって、申し訳ない。
私は夕里の父親の芹田 藤里(せりた とうり)と言います」




夕里のお父さん・藤里さんは私に深々と頭を下げた。




私は慌てて頭を上げてもらった。




最終的に決めたのは私なんだから、藤里さんが謝ることはない。




「…藤里(この人)が堅苦しくてごめんね？
私は夕里の母親の芹田 咲紀(せりた さき)です」




夕里のお母さん・咲紀さんは苦笑いして、藤里さんの腕を組んだ。




お二人共仲が良さそうでいいな。




私も夕里とあんな感じになれればいいなと思いながら、見つめていた。




藤里さんと咲紀さんは既にお母さんと会って話していたらしく、お母さんのことを知っていた。




もちろん、男だということも。




それを知らなかった美夕紀さんだけが、驚いていた。




「…李ちゃんみたいな可愛い子が夕里の奥さんだなんて、すんごく勿体ないわ」




すんごくを強調して言う、咲紀さん。




その言葉は夕里にグサリと刺さり、夕里はメンタル的に限界がきてそう。