Dear~親愛なる君へ~

そんな祈りも虚しく、「ちび」はどんどん弱っていった。
だんだん 散歩にも行かなくなり、体を触るだけでも痛がるようになった。

何かの病気だった ということは聞いたが、詳しいことは分からない。

それでも、「ちび」は、私が近づくと、小さく尾を振ってくれた。

私は悔しかった。
「ちび」が苦しんでいるのに、何も出来なかった。
体を撫でてあげることも出来なかった。
「ごめんね」
そう 言うことしか出来なかった。

それからしばらくすると、祖母が「しばらくは来なさんな」そう言ってきた。

『死ぬんだ』

こどもながらにそう思った。
それから1・2週間して、祖母から「ちび」が死んだと連絡があった。
祖母の家に行くと「ちび」すでに火葬され、埋葬された後だった。

私は泣いた。
生まれて初めて、悲しさで泣いた。

前に鳥の「チッチ」が死んだときは、悲しかったのは同じだが涙はでなかった。

生まれてきたものは いつかは死ぬ
それは当たり前だと思っていたからだ。

でも、「ちび」が死んだときは本当に頭が真っ白になって、自分が泣いていたことしか覚えていない。

それが 「死」 というものなのだと痛感した・・・
「ちび」が死んでから、何もかも うまくいかなくなった。
学校に行っても楽しいと思えなくなり、やる気も出なくなった。
それでも、一生懸命に生きてきた。
死んだ後に、また「ちび」に会えるように。

「ちび」が死んで、8・9年が経った。
「ちび」のお墓には1度しか行っていない。
なんとなく、行く必要がない気がしていた。
私たちは いつもつながっていたから。
でも、これを書いているうちに、「ちび」のお参りに行こうかなと思い始めた。

今の私がいるのは「ちび」のおかげだ。

いま思うと、私は誰よりも「ちび」が好きだった。
きっと、「ちび」が人間だったら、「ちび」に恋をしていたと思う。
ふざけてなんかいない
本当にそう思うんだ


これから どんなことがあっても、たとえ記憶喪失になろうとも、私は「ちび」のことを忘れない。

私の 最初で最後の 「親友」 だから
これを書いていると、君と過ごした日々が昨日のことのように思い出される。
でも、私に幸せを与えてくれた君はもういない。
きっと、天国でもいつもの元気と笑顔で周りを幸せにしているんだろう。

時々、君に会わなかったらどんな人生を送っていただろうと思う。
きっと「幸せ」の意味も知らずに死ぬのだろう

これから、多くの壁にぶつかると思う。
それでも、私は逃げたくない。
また君に会いたいから
君は天国にいる
嫌なことから逃げていたら死んだ後、天国にいけないから君にも会えない。
だから私は懸命に生きて行く。
また、君に会えるように。
ずっと、幸せでいられるように。

 敬具

P.S.
 君が天国で、元気で 幸せでありますように。

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