存在に気づいた瞬間、すぐさま身を翻し、あたしはその場から駆け出す。

後ろには追いかけてくる達郎。



あたしの方が走るん遅いからいつもやったら余裕で追いつかれてる。

せやのに今日は、ずっと達郎は走っとったみたいで、差はあんまり縮まらへん。

遠ざかりもせーへんねんけどな。



息は上がってるし、冬やのに汗もかいてるし、顔を真っ赤にして完璧怒っとる。






「こしあんんんんん!」





こんな時でも、安定のこしあん呼びなんかーいっ。



なんなん、なんなん。

ほんまこれどうしたらいいんよ。

とりあえずなんか怖いしさ、面と向かってとか会いたくないし。



……よっし、逃げよう。

意地でも乗り切るんやあたし!








「ふざっけんなよてめぇ!
逃げてんじゃねーよ!」

「無理に決まってるやん!」

「これ結構恥ずかしいんだぞおいこら!」



知るか。